ネイチャーポジティブ×自然共生サイト

自然共生サイトの最新認定が公表され、56か所が新たに加わりました。これで、地域生物多様性増進法の施行後に認定された自然共生サイトは、累計423か所、計5.6万haになったそうです。
今回、個人的に目を引いたのは、件数そのものよりも内訳でした。
423か所のうち、農林水産業・農山漁村関連は325か所。全体の約77%を占めています。
ネイチャーポジティブというと、どうしても「自然保護」や「企業の環境活動」の文脈で語られがちです。
もちろんそれも重要です。
ただ、この数字を見ると、日本でのネイチャーポジティブの実装は、農業・林業・漁業、そして農山漁村の営みとかなり深く結びついているのだと感じます。
一方で、30by30は面積目標です。日本では、2021年時点で既に陸域20.5%、海域13.3%が保全・保護されています。
ざっくり試算すると、今回の5.6万haは日本の陸域全体の約0.15%。
陸域30%目標そのものに対しては約0.5%、既に保全・保護されている陸域20.5%から30%までの「追加分」に対して見ても、約1.6%程度です。
だからこそ、この数字の意味は「面積目標を一気に押し上げた」というより、農業・林業・漁業、そして農山漁村の現場が、ネイチャーポジティブの制度的な担い手として可視化され始めた点にあるのだと思います。
こうした取り組みが広く知られ、地域の営みが生物多様性を支えていることが、社会の中で正当に評価されていくことが重要だと思います。
そのためには、自然を単に「守るべきもの」として扱うだけでなく、自然がもたらす価値をどう測り、どう伝え、どう企業や経済の意思決定と接続していくかが問われます。
自然資本や生物多様性の価値評価は、地域の実践と、資金・制度・企業行動をつなげるための基盤になっていくのだと思います。
自然関連データ、地域の実践、企業の関与、資金の流れ。
これらをどう接続していくか。
日本のネイチャーポジティブを考えるうえで、自然共生サイトは重要な実装の入口になっていきそうです。
出典:
農林水産省「地域生物多様性増進法に基づく認定『自然共生サイト』の認定等について」
https://lnkd.in/gnzwXwKW
環境省「30by30」
https://lnkd.in/gzYpgfRE
図版の文字情報
- 大タイトル: 「自然共生サイト、累計423か所へ」(423が緑の特大数字。C2PAコンテンツ認証マーク付き) - 左の数字ブロック - 「法施行後の認定ベースで計5.6万ha」 - 「約77%が農林水産業・農山漁村関連」 - 右の円環図: 中央「地域の営みが、ネイチャーポジティブの実装を支える」を、「地域の実践」「企業の関与」「資金の流れ」「データ・評価」の4要素が囲む - 下部帯: 「自然を守るだけでなく、価値を測り、伝え、社会と経済につなぐ。」 - 最下部: 「自然資本・生物多様性の価値評価が、未来を動かす。」 - ビジュアル: 里山・棚田・川・海と漁船の風景