カナダ 国家適応戦略進捗報告

2026-08-22

カナダ 国家適応戦略進捗報告 図版1

カナダ政府が8月13日に、2026年の国家適応戦略の進捗報告を公表しました。自然と生物多様性の章に、面積の目標だけを見ていると気づかない一節がありました。

引かれているのは2024年のカナダの研究で、自然の生態系がもたらす洪水防止の便益を初めて包括的に評価したものです。空間モデルによる評価では、洪水緩和の優先度が上位5%にあたる流域が358の人口集中地区に便益をもたらし、約370万人が直接、約2,010万人が間接的に洪水緩和の便益を受けると推計されています。

同じ研究がもうひとつ示したのは、カナダで洪水緩和の便益が最も高い優先地域のうち、現在保護指定されているのはごく一部にとどまる、ということでした。進捗報告は、この知見が今後の保全計画や意思決定に役立ち得る、と書いています。

その直後には、保護・保全区域が陸で14%、海で15.5%まで来ているという数字が並びます。2030年に30%という国際目標に向けた進捗です。

面積は積み上がっている。ただ、洪水を減らしてくれる場所がそこに入っているかは、別の問いになります。

もちろん保全の優先順位は、洪水緩和というひとつの機能だけで決まるものではありません。それでも、機能を測って地図に載せてみると、面積だけを見ていたときには出てこなかった問いが現れる。30by30を面積だけで語るのか、自然が誰の何を支えているかという機能情報も重ねて見るのかで、次に守る場所の選び方は変わってくるのだろうと思います。日本の自然共生サイトの議論にも、同じ問いがあると思います。

🔗 カナダ政府「2026 National Adaptation Strategy Progress Report」(2026年8月13日)
https://www.canada.ca/en/services/environment/weather/climatechange/climate-plan/national-adaptation-strategy/2026-nas-report.html

🔗 引かれている研究:Duarte et al., Flood prevention benefits provided by Canadian natural ecosystems, Ecosystem Services 70, 101670(2024年)
https://doi.org/10.1016/j.ecoser.2024.101670