循環経済×労働安全

米ニューメキシコ州の環境局が8月15日、州として初めての「循環経済プラン」を公開し、同時に1,150万ドルの公募を出しました。実現可能性調査に150万ドル、事業実装に1,000万ドル。締切は9月7日です。
プランは、州の埋立回避率を約15%、全米平均を32%として、その差を出発点に置いています。
構造的な課題を並べた章から示唆を得ました。
9つ挙げられた課題の8番目が「製品設計に起因する労働者の安全リスク」です。リチウムイオン電池の火災を、上流の設計判断が下流の危険を生む明らかな例として挙げ、設計側への仕組みや誘因がないかぎり、現場の作業員が不釣り合いなリスクを負い続ける、と書かれています。
そして9番目が「データと測定のギャップ」で、州全体で一貫したデータが限られているものとして、物質フロー、不法投棄のパターンと並べて、火災の発生件数が挙げられていました。
上流の設計が、下流で人の危険になる。その危険が何件起きているかを、州全体で一貫してつかめるデータは限られている。この2つが隣り合って書かれているのが、この文書のいちばん重い部分だと思いました。
日本でもリチウムイオン電池の発火は、収集車や処理施設で繰り返し起きています。回収の仕組みをどう作るかという話にはなりますが、「設計の判断が、どこで誰のリスクになっているか」を数えるところまでは、まだ届いていないように見えます。
循環経済は、資源の話としてだけでなく、そこで働く人の安全の話としても動静脈をまたがったバリューチェーンで見たところにチャレンジがある。そこに正しくアプローチしていくためには、まず数え方をそろえないといけない。プランが自分でそう書いているところに、この文書の誠実さがあると感じました。
🔗 New Mexico Circular Economy Plan(New Mexico Environment Department・2026年5月作成/2026年8月15日公開)
https://cloud.env.nm.gov/resources/_translator.php/YzUxZTQwMDhkMTY5NDE2ZDAzYmVjZGE2M18yMzgzNzc~.pdf
🔗 NMED、循環経済プランと1,150万ドルの公募を発表(Los Alamos Reporter・2026年8月15日/NMEDニュースリリース全文)
https://losalamosreporter.com/2026/08/15/nmed-launches-circular-economy-plan-11-5-million-in-funding-to-advance-reuse-recovery-and-new-mexico-supply-chains/