自然のタイプと活動×心身の調子


自然が心身の調子に届くかどうかは、水辺か緑地かというより、そこで何をしたかによるのかもしれない。9万5,790人分の全国調査を分析した論文が、そう書いています。
8月10日、Lifestyle Medicine。イングランドの People and Nature Survey の二次分析です。直近14日間に緑地を訪れた人が56,000人、水辺(川・湖・運河・海辺)を訪れた人が15,007人、どこにも行かなかった人が24,783人。
まず、場所のタイプによる差は小さいものでした。心の調子は水辺のほうがよい、という差は出ましたが、効果量 d は0.06。論文は3.2節で「すべての分析で効果量は無視できる大きさだった」と書いています。
そのうえで、活動別の分析が続きます。
・歩くこと、野生生物を見ること。この2つは、水辺でも海辺でも緑地でも、一貫して心身の調子と結びついていた
・逆に、車の中から自然を眺めることは、海辺と緑地では体の調子とマイナスの関係だった
ただし、活動で説明できたのも、ばらつきの2.5〜3.3%です。強い説明力があるわけではありません。
著者らが「予想外」と書いた結果もあります。孤独感と不安がいちばん高かったのは、緑地と内陸の水辺を訪れた人たちでした。横断調査なので向きは分かりません。不安を抱えている人ほど外に出るのかもしれない。
グリーンインフラの価値を説明するとき、面積や緑視率、あるいは海が近いといった立地の話になりがちです。この研究を読むと、同じ緑地でも、そこで歩けるか、生きものが見られるかで、人に届くものが変わるのかもしれない。測る対象を、場所の属性から、そこで起きる活動へ移せるか。私はそこが論点だと思っています。
🔗 論文(オープンアクセス): https://doi.org/10.1002/lim2.70073